《大人の文化・子供の文化》
大阪在住のある世界的な漫画家のお話を伺うことが出来た。
私が学生時代に憧れたトミー・アンゲラー、ロナルド・サールなどと同評価の国際的な漫画の巨匠である。
2時間近くも長電話で恐縮したが、終始先生は嘆かれていた。
ヨーロッパでは大人と子供の文化や娯楽がキチンと区分けされているが、日本はごちゃ混ぜ。
中途半端なフェミニズム、子供目線ですべてを中和させようとする変なリリシズムに毒され、特に戦後の日本は牙を失った予定調和の文化が主流となっている。
先生は先日、日本の電車に乗ったら“子供の為に描かれたはずの少年漫画”を大人が一生懸命読んでいる。(本来、漫画は観るモノですが)
誠に嘆かわしいと思った。
少なくとも、私が学生時代に油彩を捨て、漫画を研究していたのは少年漫画ではない。
粋で滑稽なブラックユーモア、洗練されたセンスによる切り口と魅力的な描線。
言葉を使い、解説が無ければ成立しない漫画ではない。
『カートゥーン』を学んでいたのです。
50年近くも昔、松本零士だ、陸奥a子だ、髙橋留美子だ、と漫画研究会の連中は騒いでいましたが、異端である私はセッセと県立図書館に通い、アンゲラーやサールのカットのある洋書を模写していました。
少年漫画はファンの集まり、言っちゃ悪いが“オタクの集まり”。
ヒロイズム大好き人間の集まりで、体育会系は一人もいない。
人間の生まれながらに持つ黒白の一つである、エロスもバイオレンスも全く興味が無い、そういう連中です。
女・子供の為の文化に毒されて、『大人の粋の領域』を守れなかった。
戦後、一大産業となった出版業界も同罪。
お金にならなければ出版しない。
女・子供が対象でなければ動かない。
映画も音楽もTVも皆同罪。
みんな“トットロ、トトロ~”と言っとけば世界は平和。
僕の大好きだったオノレ・ドーミエなどが描いていた、カリカチュア漫画(風刺)の時代は
少数派であり反体制派。
何度も牢屋に入れられても、ユーモアを武器に命懸けで風刺漫画を描いていた。
今や漫画は大数派。
最大多数の最大幸福。
とても民主主義。
なんか違う!
芸術の都フランスが日本の漫画文化をリスペクトしている? 真っ赤な嘘です。
ルーブルが9番目の芸術として漫画を認めた“ルーブル9”? 真っ黒な嘘です。
フランスは日本の浮世絵や伝統の日本画などの職人芸が(宮大工と同じ)自分たちのレベルをはるかに超えていることと、“印象派”が生まれる原動力になった日本の美意識に対してリスペクトはしていますが、漫画文化そのものに敬意を表しているのではありません。
コスプレ・出版など、日本は漫画を産業化したので見習おうと、なびいているだけなのです。
ヨーロッパだって、そんなにそこの浅いものではありません。
もともとフランスごときがスペインやイタリアやギリシヤを差し置いて、大きな顔をして芸術を語ってはダメです。
そして宗教的にはもっと深くドロドロしたものが裏側には隠れています。
一時、話題となった“ルーブル9”などは、ルーブルが認めた方が商業的に有利と判断したからなのです。
村上隆や草間彌生などの個展を許すのですから。
作家への敬意は微塵も有りません。
フランスとは、そういう国柄なのです。
アカデミック? 冗談じゃない! 昔からミー・ハーです。
映画なども“黒澤映画”になぎ倒され、フランス人のプライドはズタズタ。
以降、カンヌに出品される日本の映画には必ず“お土産”として『ナントカ賞』がいただけます。
北野たけしは、そう言う勘違いからスタートした映画監督です。
映画を舐めちゃだめですよ。 日本のポンコツ映画監督さんたち。
さて本題の“大人の文化・子供の文化”について。
有体に言うと、大人は酒を飲み、タバコを吸う、博打を打ち、女を買い、そして犯罪も犯す。
しかし子供たちは、これらの事はしないが、それらに憧れて大人になる。
良いことも悪いこともしながら人間としてのキャリアを刻んでいく。
その熟成の過程で、大人は“楽しみ”や“遊び”を創り出し、人生の苦みのカタルシスとする。
これが大人の文化である。
町を眺めても、大人が遊べるところがどこにあるだろうか?
パチンコや競輪・競馬・ストリップくらいか? どこを見渡しても、女・子供が行くところだらけ。
イギリスには“倶楽部”がある。 釣り自慢やゴルフ自慢など紳士たちが互いの智を競い合い・讃え合う場所。
日本には公民館や囲碁クラブくらいかな。
ただ上記した大人と女・子供の共通点がある。
そう、[スイーツ]と[可愛い]である。
甘いもの,可愛いものを好む大人もいる。
食べ物・着る物・見る物、全てのキーワードが“甘いもの”と“可愛い”なのだ。
大人も女も子供も、みーんな大好きな“スイーツ”(甘いもの)と“可愛い”で時代が構成されているんだと思いました。
“可愛い”はペットや萌えに繋がっていきます。
僕は思うのです。甘いものは誘惑的で、誰に対しても努力を求めません。
しかし中毒性が強く、精神までが糖尿病に侵されて、死ぬまで苦しまなければなりません。
やはり、僕は嘘と言うクリームを何層も塗り固めた偽善的な『スイーツ文化』は死ぬまで大嫌いです。
精神が糖尿病化し時代に迎合した連中と、死ぬまで大人の文化で対峙していきたいと考える今日この頃でした。
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