《66歳になりました》
“光陰矢の如し”、時の経過は癪に障るけど早い。僕の都合や予定を無視して早い。
やっと自分と言うものが判り始めて来たというのに、あと数年で70歳代に突入してしまう。
どこかで人生の時間割を間違えたに違いない。
こんなにゆっくりと自分自身の熟成を行っていては、道半ば、志半ばであの世に行ってしまうことになる。
それは困る。
とても都合が悪いのである。 自分が完成しないうちに、僕のドラマが終わってしまう。
劇的でドラマチックで感動的なラストシーンのシナリオも脚本も出来てない。 残る効果的手段は、ゆっくり生きて人生の進行スピードを緩めるくらいしかない。 そんな事を考えながら、モーニングコーヒーをゆっくり飲み干し、机に向かった。 ノートを拡げ、ペンを握った。
66年生きた自分の熟成度合いを具体的に紙に書き残しておこう、そう思った。 熟成度の計測には様々な項目があり、それらを一つ一つ書き出していると本当に暇な老人になってしまいそうなので止めた。 ＷＡＯ！に出勤する時間まで30～40分あるので、まずは自分の大キライなモノを書き出してやろうと思い立った。
タイトル：“僕の大嫌いなモノ”
「カメムシ」「カビ」「ゴキブリ」「ゲジゲジ」「パクチー」「子供のキーキー声」「女のキャーキャー声」「普通」「絶望」「諦め」「無感動」「嘘」「裏切り」「浅はかさ」「恩知らず」「恩着せがましさ」「軽薄さ」「非礼・無礼・失礼」「老人」「キムチ」
中でも狡猾で、醜く、不潔で、臭くて、自己中心的なジジイやババアは極めて嫌いです。
寿命がいくら伸びても、それは人間の賞味期限でも有効期限でもありません。
高級なワインと同じで、時間をかけてしっかり熟成して、初めて若者からリスペクトされ、目標とされるのです。 だから人間は若い頃から壮年・老年に向けて『熟成』を目指すべきなのですが、それに失敗したか? 諦めたのか？ そんな人間の成れの果ては、醜さが顔に出ます。
嘘をついたり、自分を含めて他人を平気で欺いたり、約束やルールを守ろうともしない。 若者の良い手本になろうなんて微塵も考えない。
そのくせプライド（虚栄心や自己愛や自己顕示欲）は人一倍強い。 見るのも、近づくのも、関わるのも嫌な、不愉快極まりない人になってしまいます。
人間も生き物、腐ったら終わりです。 さらには、自分自身に愛想が尽きたら終わりです。 ダメな自分を見捨てない事が大切だと思います。
早々と亡くなった方々は腐る前に美しい思い出の中に存在出来ますが、人生100年時代には、余程しっかりと心身のケアを怠らないようにしないと、新しい現役の人間の邪魔になってしまいますね。 僕も、そこん所は目一杯気を付けて生きようと思います。
おやおや、ついつい『嫌いなモノ』のリストアップから、老人批判になっちゃいました。 スミマセンです。
それと、最近読んだ“司馬遼太郎を語る会”の本の中で、養老孟司先生が『教養』についてお話をされていました。
“ウィキペディア”では、『教養』とは[個人の人格や学習に結び付いた知識や行いの事]あるいは[学問や知識によって養われた品格]とありますが、養老先生は『“教養”とは、他人の心が解ること』であり、他人と心を通じさせ、協力して社会を作り上げる事が人間の頭の良さの本質であると語られてました。
少しだけ誇らしく思いましたのは、弊社WAO! の『五つの能力』と言うのがありまして、15年前に社員の努力目標として私が作ったもので、今でも社内に掲示しております。
その中で、最強・最高の能力は、『人の気持ちや心が解る力である』と書いています。 何故か？ だって世の中は、世界は人の気持ちで動いているからです。 養老先生によって私自身、『教養』＝人の気持ちが解る能力なんだ！
間違っていなかった。 ストンと腑に落ちた次第です。
司馬 遼太郎先生、養老孟司先生、ありがとうございました。 感謝
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