おはようございます。
ワオのメルマガ担当の松本です。
みなさんの中で、ペットを飼われている方も多いと思います。
我が家にも愛犬がいるのですが、誕生して16年目を迎えました。
人間の年齢で言うと、いくつということになるのでしょう。
栗毛のミニチュアダックスです。
白内障で耳も遠くなり、呼んでも振り返ることがなくなってしまいました。
でも、家族にとっては今でも末っ子のような存在で、可愛くて仕方ありません。
一生懸命、生きています。
命というものがいかに尊いものであるかということを教えられる日々です。
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さて、すでにご存じの方も多いかと思いますが、5月31日(金)から6月2日(日)
までの3日間、エルガーラホールギャラリー(福岡・天神)にて、
『斉藤和~桃山絵画からの伝言・美しき日本画展』を開催致します。
これまで、桃山時代を代表する三人の絵師を通して桃山絵画というものを
浮彫にしてきましたが、今号ではついに、現代の桃山絵師ともいえる
斉藤和の芸術の核心に迫っていこうと思います。
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京都に、真言宗智山派総本山智積院というお寺があります。
そこには、このメルマガでもご紹介した長谷川等伯らによって描かれ
祥雲禅寺の客殿を飾っていた金碧障壁画が残されています。
「楓図」「桜図」「松と葵の図」「松に秋草図」がそれにあたり、
いづれも国宝に指定されている国家的名作です。
実は、斉藤和はまだ若かりし頃、この障壁画の修復事業に参加しており、
その経験が、桃山絵画という巨大なテーマに挑むきっかけになったといいます。
斉藤和はその時のことを次のように語っています。
『桃山絵画における金碧障壁画は全体として重く、また絵としては明る過ぎる。
そこで現代の建築にも合うよう、桃山絵画の現代的解釈として作品を描こう決意し
た』
しかし、桃山絵画の現代的な解釈とは、言葉でいうのは簡単なことですが、
実際にそれを絵として表現することは並大抵のことではありません。
先ず、先達たちの残した過去の名作を徹底的に知らなければならない。
それから、絵筆と和紙との格闘と苦悩の日々が始まります。
ちょうど京都芸大を卒業後、日本画家として独立していた頃のことです。
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斉藤和は、多作の画家です。
『多作が名作を生み出す』の言葉通り、とにかく描き、描き、やがて
ある境地に達するのですが、それが今の作品にもよく表れています。
その境地については後述するとして、
斉藤和の名を一気に有名にする出来事が、2001年に起こります。
NHKから、あるオファーが届いたのです。
それは、金曜時代劇『五辯の椿』の浮世絵の指導を行って欲しいというものでした。
山本周五郎原作の時代劇で、すでに一度映画化され、テレビドラマとしては
過去三度も制作された名作ドラマです。
その劇中に自分の作品も使われるということですから、かなりのプレッシャーを
感じながらの仕事となりました。
斉藤和は苦悩の日々を送りながらも、それを見事にやり遂げます。
今も、その時に使われた原画が、NHKに大切に保管されています。
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その後、斉藤和の仕事の幅は格段に広がったと言って良いと思います。
寺院の障壁画の仕事が増え始めたのもこの頃です。
広島県) 真言宗大覚寺派医王山 薬王寺 障壁画
京都府) 正寿院 花天井
京都市) 浄土真宗本願寺派専徳寺 障壁画
これらのものを、斉藤和は手掛けます。
桃山絵師たちが盛んに制作していた障壁画の仕事を
自分でも手掛けるようになったのです。
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さて、先述した斉藤和がたどり着いた境地についてお話しなければなりません。
絵画との格闘の日々、それは、一言では語りつくせぬ苦悩の日々でした。
斉藤和は「自分ではどんどん変化進化している心算でいるけれど、
悲しいくらいに根本は変わらない」といいます。
そして、自分の根本にあるものは、子供の頃にいつも触れていた自然だと
いいます。
そのうえで、現代の桃山絵師とも言われる斉藤和がたどり着いた境地とは何だったの
か?
『やっぱり、愛なんですよ』
くしゃくしゃの笑顔で、そう答えてくれました。
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絵画との苦闘の果てにたどり着いた『愛』の正体とは何だったのでしょう?
斉藤和のいう『愛』とは。
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5月31日(金)から6月2日(日)までの3日間、
エルガーラホールギャラリー(福岡・天神)にて開催される
『斉藤和~桃山絵画からの伝言・美しき日本画展』では、
様々なことが明らかになると思います。
また、みなさんの前で実演で描いてもらうライブペインティングでは
水墨画にチャレンジ。
驚異の筆さばきは、このイベントでしか見ることが出来ません。
先日発売された故・ドナルド・キーン自叙伝『このひとすじにつながりて』
表紙絵、同テーマ作品も展示します。
とにかく、もりだくさんの内容になっています。
会期中は、全日、斉藤先生もいらっしゃいます。
ぜひともご来場ください。
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朝晩はまだ少し肌寒いようです。
くれぐれもお体ご自愛ください。
それでは、また次号でお会いしましょう。
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